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日本三大酷道はどこなのか・酷道である理由と走行の注意点

更新日:2023年12月16日

「国道」と名前がついてはいるものの、走行が困難なほど悪条件な道路を「酷道」ともじって言います。日本には数多くの酷道がありますが、その頂点に君臨する国道を「日本三大酷道」と呼びます。それは国道何号線なのか、その道の概要や走破の心得、それらを簡単に紹介します。

日本三大酷道はどこなのか・酷道である理由と走行の注意点

「酷道」とは?

「酷道」とは日本語の俗語で、国道の中でも道幅が狭かったり、立地条件や気候などの条件によって一般車両の走行が困難な道路のことを指します。そんな「酷い道」を「国道」の読み方にかけて「酷道」と呼んでいます。

ちなみに、一般車両の走行が困難な「県道」は、「険道」と呼ばれます。そんな「酷道」は日本に多く存在していますが、中でも「日本三大酷道」と呼ばれる有名な道路があります。

日本三大酷道とはどこなのか?

「日本三大酷道」と呼ばれる道路は、「国道418号線」、「国道425号線」、「国道439号線」です。いずれも山の中を通る道路であり、崖に隣接しているにもかかわらずガードレールがない、土砂崩れが起きている箇所がある、車の対向が難しいほど道幅が狭いなど、相当な手ごわさを誇ります。

それでは、「日本三大酷道」をひとつずつ見ていきましょう。

国道418号線

国道418号線は福井県大野市を起点とし、長野県飯田市を終点とする一般国道です。総距離は243.3キロメートルにわたります。

福井県大野市から岐阜県本巣市までの区間は下記の国道157号線と重複します。他にも、尾並坂峠、平谷峠、売木峠といった多くの狭隘な道を含み、さらに事実上の廃道となっている通行止め区間があるなど、「キングオブ酷道」の別名がつくほど荒れた国道です。

超酷道区間、「岐阜県恵那市~八百津町区間」

国道418号線が日本三大酷道に含まれる所以として、岐阜県恵那市~八百津町にわたる通行止め区間があります。この区間は将来新丸山ダムに沈む予定の区間で、すでに代替となる丸山バイパスが開通されています。

この全長5500メートルの「超酷道区間」は日本三大酷道の中でも最凶とされています。「隕石」と呼ばれる巨大落石、昼間でも闇に包まれている心霊スポット「二股トンネル」、そのトンネルの近くで起きた大規模な土砂崩れなど、その酷さは随一です。

国道425号線

国道425号線は三重県尾鷲市を起点とし、和歌山県御坊市を終点とする一般国道です。総距離は206.2キロメートルにわたります。

この道は紀伊半島を横断する形で延びているため、一見すると紀伊半島の西端と東端を短時間で往来することができるように思えます。しかし実際は和歌山県御坊市~田辺市の区間を除いた200キロメートル弱にわたって道路改良が進んでいません。

そのため、紀伊半島沿岸に沿って延びている国道42号線を利用する方が走破時間が短いという、矛盾のような状況が起こっています。それほどに通行しがたい国道です。

超酷道区間、「和歌山県龍神村~奈良県十津川村区間」

日本三大酷道のひとつ、国道425号線の最難関区間は、「龍神~十津川ルート」と呼ばれる全長44.9キロメートルの区間です。この45キロほどの道のりを走破するのに2時間ほどかかります。

なぜそれほどの時間を要するのかというと、車一台分ほどしかない道幅の狭さ、いたるところで起こっている路面崩壊、カーブの多さ、そして片側が崖にもかかわらずガードレールがないことが挙げられます。国道425号線はいたるところに転落注意の看板が掲げられています。実際に転落死亡事故が起こったこともあります。

国道439号線

国道439号線は徳島県徳島市を起点とし、高知県四万十市を終点とする一般国道です。総距離は348.3キロメートルにわたります。

3桁の番号がついた国道の中では距離が長く、その長さは東京~仙台間を結ぶ国道6号線とほぼ同じです。四国山地を横断するように延びており、冬季通行止めとなる1000メートル超えの区間もあります。かなりの急こう配、急カーブ、狭路のため走行には高い運転技術が必要です。

超酷道区間「京柱峠」

京柱峠の名前の由来は、真言宗開祖である弘法大師が近隣集落からこの峠を目指した際に、京に上るほど大変な峠だと言ったといわれることからきているとされています。

徳島県と高知県の境に位置するこの峠は標高1000メートルを超え、崖にガードレールもない上に道に落ち葉が積もり滑りやすくなっているため、走行に注意が必要です。また冬季には通行止めになることがあるため、冬に通行する際には事前調査が必須です。

ここは国道439号線の難所ではありますが、同時に名所でもあります。なぜなら、京柱峠から眺める周囲の山々は、絶景だからです。国道439号線は総距離が非常に長く、運転に集中する時間も長くなりますので、景色を楽しみながらここで休憩をとることをします。

国道157号線

日本三大酷道には含まれませんが、酷道として有名な道路が今回ご紹介する国道157号線です。日本三大酷道に含まれなくとも、その次点あたりに相当する通行の厳しい道です。国道157号線は石川県金沢市と岐阜県岐阜市を結ぶ一般国道です。総距離は202.6キロメートル、北陸地方と東海地方を最短距離で結ぶ国道です。

しかし、文字で見るような利便性はありません。その理由は、岐阜県、石川県といった雪深い地方の山間を進む道のため、一年の半分ほどが通行止めになるからです。また、へこんだ道、雪の重みで折れ曲がった標識やガードレール、道の上に川が流れる「洗い越し」、野生動物注意など、100番台の国道とは思えない状況になっています。

超酷道区間「岐阜県本巣市能郷~黒津間」

この区間の手前には、「危険 落ちたら死ぬ!!」と書かれたすさまじいインパクトのある看板が設置されています。

しかしこれは誇張でも何でもなく、この区間で実際に死亡事故が起こっています。狭路、ガードレールなし、カーブ連続、見通し悪し、離合困難、断崖絶壁、落石といった酷道要素を詰め込んだような区間で、運転にも細心の注意が必要です。

日本三大酷道が酷道である理由

日本三大酷道は、狭路、ガードレールがない、カーブが多い、ほぼ180度というレベルの急カーブがある、見通しが悪い、離合困難、断崖絶壁、土砂崩れが起きやすい、日当たりが悪い、落ち葉や苔が生えている、落石注意、動物注意といった要因を含む区間があります。

これらは熟練のドライバーであっても一つ間違えば死に直結するほど危険な要素です。そのような要素を持った区間が長距離にわたって続く、これが日本三大酷道が酷道である理由と言えます。また、日本三大酷道には下記のような共通点があります。これらも日本三大酷道が酷道である理由に直結すると言えます。

1.山間部を走っている

酷道418号線は岐阜県の山間を、国道425号線は紀伊山地を、酷道439号線は四国山地を、というように、日本三大酷道はすべて山間部を縫うように走っています。

山間部は気象条件が厳しく、そこに走る道はその影響をまともに受けます。冬季は雪が積もり通行止めになりますし、豪雨になれば地盤が緩み、土砂崩れを引き起こしたり、落石を起こしたりします。土砂崩れの要因は豪雨以外にも、湧き水の影響もあります。

他にも、山に棲む動物が飛び出してくる、落ち葉が積もるなどの問題も起こります。

2.代替道路がある

バイパスや自動車専用道など、車線数が多く走行しやすい道路が開通すると、事実上の旧道になり、整備が遅れます。日本三大酷道には全て酷道を避けて通ることができるバイパスがあります。

3.人が住む集落が少ない

国道418号線は岐阜県から長野県、国道425号線は紀伊半島横断、国道439号線は四国横断といった具合に、日本三大酷道は遠い場所を他の道路に比べて短距離で移動できる道です。

便利であるはずなのに、どうして酷道となったのかと考えると、その沿線で生活する人が少なかったことが挙げられます。加えて山間部を走っていることにより、整備が追い付かず酷道化したと考えられます。

日本三大酷道を走行する上での注意点

日本三大酷道は、それぞれ「国道」に指定されてはいるものの走行が困難を極めるということはここまで紹介してきました。そのため、しっかり準備をしてから走行に臨むことが必須です。後悔は先に立ちません。

計画を立てる

日本三大酷道を走行するということは、簡単に言えば崖っぷちにありながらガードレールもなく、対向するほどの車幅もなく、異常な数のカーブがあり、落ち葉や木の枝が積もって滑りやすい道を走るということです。無計画なまま走り、何かトラブルが起こっても、そこは深い山の奥です。携帯電話の電波も通じないところも多くありますし、JAFの到着を何時間も待たなければなりません。

ましてや酷道の頂点に立つ「日本三大酷道」と呼ばれる道路です。崖崩れや落石など、予測した以上の条件の悪さに遭遇することも想像できます。計画には立てすぎはありません。しっかりと計画を練ってください。

準備をしっかりする

日本三大酷道の道沿いに集落は決して多く存在しません。それはつまり何百キロと物資を補給することができないことを意味します。予備の燃料、食料、何かトラブルになったときのための衣類、寝袋など、「もしも」のときに対応できるよう、準備を入念に行ってください。

日中に走る

山間部を走る道です。街灯には期待できません。ましてやどこで崖崩れが起きているかもわからない、ガードレールもない道です。夜間の走行は自殺行為とも言えます。

特に国道439号線は400キロ近くあるため、早朝から走り始めることが必須といえます。

運転に自信がない方は走らない

極論を言ってしまうと、走らないことです。崖崩れや落石のため、何キロも崖っぷちにガードレールもない道路をバックで戻る必要が出てくることがないとは言い切れません。興味本位で挑戦して後悔したり、命を落としてしまうくらいなら、最初から走らないことです。

日本三大酷道の歴史

日本三大酷道は全て昭和57年(1982年)4月1日に追加された路線です。国道3、400番台の道路は政治的な道も多くあり、「国道=立派な道」という一般的な概念から逸れることになりました。

日本三大酷道以外に酷道として認識されている道路も、3、400番台の道路が多いです。

日本三大酷道で発生した大きな事故

日本三大酷道ではどの路線もいたるところに転落注意、落石注意などの看板が設置されています。それは決して通行するドライバーを脅そうとしているのではなく、実際に死亡事故が起こっています。

2006年12月には、奈良県十津川村で国道425号線の斜面が崩れ、20代男性が巻き込まれて死亡しています。現場付近は数日来の雨で地盤が緩んでいたため、その影響でこの痛ましい事故が引き起こされてしまいました。

身近な秘境である「酷道」

近年はインターネットの普及により、酷道の情報も得やすくなりました。実際にバイクや車で酷道を走り、その様子をSNSや動画で共有している方もいます。「酷道」は私たちが普段利用している「国道」とは見せる姿が違っています。自然と一体化したかのような酷道は、まるで物語の中で魔境を探索しているかのような、そのような気分を身近に味わわせてくれる存在です。

また、酷道の中には商店街のアーケードの中を通る道や、階段区間が含まれる道など、想像を超えるアプローチをしてくる道も存在しています。そんな非日常の体験ができる酷道は、私たちの日常に変化と驚き、楽しさをもたらしてくれます。とは言っても、危険も潜みます。酷道走行が苦い思い出にならないように、細心の注意を払いながら「酷道」を楽しんでください。

初回公開日:2018年01月31日

記載されている内容は2018年01月31日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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