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ツライチは車検に通るのか・ホイールの計算方法・やり方

初回公開日:2018年05月17日

更新日:2020年08月29日

記載されている内容は2018年05月17日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

ツライチ。もともとは建築用語で、壁や床など二つ以上の面に段差がないことを言います。転じて自動車用語では、主にホイール・タイヤが奥まらず、フェンダー面とあっていることを指します。車検基準の緩和により、よりツライチが楽しみ易くなりました。

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ツライチは車検に通るのか?

手軽で、見た目が大きく変わるので、愛車の改造・ドレスアップというとホイール、タイヤの交換から手を付けられる方が多いでしょう。それに関わる法令では、タイヤ・ホイールの中心から、前方30度後方50度の扇型の範囲は、ボディの内側に入っていなければならないと道路運送車両法によって定義されています。また、スピードメーターの誤差は、10%以内と同じく定義されています。

平成29年の法改正に伴い、前方30度、後方50度の範囲はそのままながらも普通車に限り10mm以内の「タイヤ」のはみ出しは認められ、ツライチはやりやすくなったといえます。

しかし、ツライチに寛容になったとはいえ、ホイール(金属部分)のはみ出しは、従来通り違法となるため、引っ張りタイヤなどでリムが外に出ている車は注意が必要です。

ツライチと車高

ツライチは、ボディとタイヤの出面を調整することによります。純正ホイールの場合は、フェンダーより奥まった位置にホイールが引っ込んでいますが、これをカーデザイナーが描いたように、ボディと段差がない状態=ツライチにもっていくことを指します。

ツライチを目指しホイールを外に出すのは、インセットの変更により、現在のものより数値を下げれば外に出すことができます。しかし、もともとの扁平率の高いタイヤでは、ボディからホイールまでの距離があり、純正車高の場合も同様にフェンダーとタイヤまでの空間が目立ちます。

したがって、ツライチ化は、ホイールのインチアップと車高を落とすことがセットに考えるユーザーが多いです。

サスペンションについて

ツライチは車検に通るのか・ホイールの計算方法・やり方
※画像はイメージです

ツライチを目指し、車高を落とすには基本的にはスプリングを短いものに替える、あるいはショックアブソーバーごと交換し、車高の細かな調整が可能な車高調整式サスペンション(車高調)に交換するのが一般的です。

ツライチ化に限らず、車はあるレベルで最適化をしています。基本的にファミリーカーは、タイヤがほぼまっすぐに地面に接するように設計されています。ミニバンなどは、乗車人数による荷重変動が大きいので、フルに縮んだ状態でも急激なタイヤの向きの変動が起きないようにしていますが、それでも空車時から10㎝も沈むとタイヤの向きは大きく変わります。

ツライチに最も影響を与えるのは、正面から車をみた際にタイヤが、ハの字となるネガティブキャンバーというアライメント変化です。

キャンバーとツライチ

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ツライチに影響を与えるアライメント変化は、サスペンションの形式によります。FF車の多くが採用するストラット式サスペンション等、左右別々の動きをするインディペンデントサスペンションの場合、車体側につけられた支点を軸にアームが延び、その先にタイヤが付きます。

上下動をすると、そのアーム支点を中心に円運動をし、タイヤが上下動しますので、上下にタイヤが動くと、タイヤはより奥まることになります。サスペンションの形式により、変動はしますが、リジットアクスル(車軸式)以外は、必ずこのキャンバー変化が起きます。

純正車高状態で、ツライチにもっていっても、車高を落とすとタイヤが奥に入ってしまいますので、車高を変えることも念頭においているのであれば、車高を落としてからツライチにもっていくインセットを計測するのが通常です。

サスペンションのセッティング

ツライチセッティングに最も重要な要素の一つは車高です。車高は、スプリングのみで3~5㎝くらい、車高調はそれ以上の落ち幅となることが多いです。

ツライチに直接関係ない知識ですが、車高を落とすことは、ロールが減って安定するように感じますが、これは間違いで、車はサスペンションのアーム等のセッティングで、実際の重心軸ではない、地面深くにある仮想の「ロールセンター」を軸に扇型にロールをします。

車高を下げると、サスペンションアーム類は、上向きの角度をもち、このロールセンターは浅くなり、実際の車両の重心軸に近づきます。そうすると、ロールが増え、横転等の危険性が増します。

それを防ぐのに、堅めのバネ、ダンパーをいれ、結果的にこれがキビキビ感につながり、スポーティな印象になりますが、本質的に性能が上がっているわけではないのでツライチを目指すユーザーは注意が必要です。

様々なツライチ

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車検に通る範囲のツライチでいうと、基本はフェンダー内にホイールは収まっているもので、このレベルですと「ツラウチ」と呼ばれるレベルです。

しかし、中には、サスペンションアームを改造して極端なネガティブキャンバーを付け、無理やりタイヤ上部をフェンダー内に収めた所謂「鬼キャン」といったツライチ方法や、リムをフェンダーラインとツライチに合わせる「リムツラ」といった手法もあります。

最近では、海外でも日本のツライチの文化をさらに過激に昇華させた「ヘラフラッシュ」という方法が、日本に逆輸入されてきています。これは、ボディとタイヤの間にカード等をはさみ、紙一枚の隙間しかないツライチをアピールしています。

これらは、フェンダー側についている金属プレスの強度保持の為の折り返し部分「ミミ」をつぶす、または、切り落とすという加工をし、サスペンションがストロークした際にボディとの干渉を防ぐ加工も行います。

ツライチとタイヤのセッティング

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ツライチは、タイヤ及びホイールをボディの面と同一面とする改造です。しかし、走っていると常にタイヤは回転と路面の状況や加減速、カーブの動きにより、上下動を繰り返します。また、タイヤも遠心力で微妙に膨らみます。そうすると、静止状態では問題なかったものが、ボディと干渉をする場合が起きます。

前述のように、ミミを折るなどの対処で交せればよいのですが、同時にタイヤのセッティングにも気を使います。

タイヤは、同一サイズでもメーカー間、さらにモデルでも微妙にサイズが異なり、特にタイヤの角となるショルダーは、考え方、ターゲットにより形状が大きく変わります。ボディへの干渉を防ぐには、このショルダーが丸まったラウンドショルダー形状のタイヤをセレクトします。

それでも干渉する場合は、「引っ張り」というリム幅に対して細身のタイヤを組み、強制的にショルダーを寝かせる方法をとります。

インチアップと引っ張りタイヤ

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もはやツライチとセットのインチアップは、本来スピードメーターに誤差を及ばさないように、直径が同一となるように組むのが通常ですが、だいたいの場合、同程度の幅でインチアップすると数ミリ外径は小さくなります。その為、敢えて細身でワンサイズ大きなタイヤをセレクトし、引っ張ることで外径が小さくならないように調整する方法も取られます。

また、タイヤメーカーのイメージ戦略で、扁平タイヤに強いスポーツ性を持たせていますが、タイヤは正面からみた形状が、円に近い方がカーブでの踏ん張りが効きます。(サイドウォール剛正が高い)さらに引っ張りタイヤ等にすると、性能は大きく落ちますので、注意が必要です。

ホイールの種類

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ツライチ化に伴い、ホイールのインセットを調整し外へ出すようにしますが、車は製造公差があり、厳密に左右対象ではなく、同じ車でもインセットが10mm程度異なる場合もあります。また、特にFF車の前輪は、エンジンや駆動系を交わして、操舵もするので、比較的外にセットされていますが、後輪は内側に入っています。

この条件をクリアし、前後輪ともツライチにするには、限られた設定サイズから選択する1ピースホイールでは難しく、リム部分が独立している2・3ピースホイールを選ぶのが一般的です。

また、気に入ったホイールが1ピースしかなく、ツライチにもっていけない場合は、後述するスペーサーという方法を使います。

車種別ホイールのツライチの計算方法

ここでは、車種別にツライチの計算方法を解説します。

ヴェルファイア・アルファード

基本コンポーネントを共有している両車。共に、押し出しの強いデザインからローダウンなどカスタムの素材としてもが高く、ツライチ、インチアップされた車両も多くみかけます。この車の注意点は、現行モデルの後輪サスペンションにダブルウィッシュボーンが採用されたことです。

多くの車は、車両前方から見て、車体下部を中心に弧を描くようにタイヤが動き、車高を落とすと、ボディ内側情報へ向かってタイヤが入ります。しかし、以前のアルファード・ヴェルファイアは、後輪にトーションビームという車軸式のサスペンションを採用しており、こちらは車両側面からみて、タイヤ前方を軸に弧を描きます。

車高を落とすとタイヤ全体が前方に移動するように見えてしまうので、中心位置を調整するアーム等の用意が必要になります。

ダブルウィッシュボーンサスペンション

ここで現行アルファード・ベルファイア、現行プリウスに採用されているダブルウィッシュボーンについて簡単に触れます。このサスペンション形式は、ホイールを、上下4本のA型のアームで保持します。

名前の由来は、鳥の胸骨ウィッシュボーンです。特徴として、上下二本のアームがタイヤを直角に近い形で地面に設置させるので、走安性が高く、コーナー中に段差を超える際なども接地面の変化が起きにくいです。

また、アームが4本あるのでタイヤの上下動に伴う動き(ジオメトリー)を制御しやすく、コーナー中の挙動などを安定方向に振ったりというセッティングができます。

しかし、構造が複雑で部品点数が多く、場所も取ることからFFの小型車やアルファードのような室内空間を広くとりたい車には採用されませんでしたが、現行型から省スペースのダブルウィッシュボーンが採用されています。

ダブルウィッシュボーンのツライチセッティング

F1等のサスペンションがダブルウィッシュボーン式ということからも高性能なサスペンション形式だということは分かります。

しかし、複雑な機構でタイヤの上下動に伴う向きの変化(ジオメトリー)制御を積極的に行うことから、比較的車高変化に伴うタイヤの向きの変化は大きく、車高を落とすことで車両上方からみた場合、車両進行方向に対するハの字の角度、トー角の変化が大きくなります。

基本的には、車体が沈むと安定方向のトーインとなるセッティングですが、車高を下げた状態から更に沈み込むと、大きな変化が出て安定性を乱す可能性もあります。また、タイヤの方べりにもつながりますので、安易に車高を下げるだけでなく、ジオメトリーを理解し、調整できるプロショップでアライメントの調整をしてもらうべきです。

エスティマのツライチ

エスティマもトヨタのミニバンとして、かつてはアルファード、ベルファイアと車体を共有していました。現在は先代モデルのマイナーチェンジ版として販売されていますが、エスティマのリアサスペンションは、旧型アルファード系と同様のトーションビームを採用していました。車高を落としてもハの字となるキャンバーは付きにくい形式です。

しかし、やはりタイヤが前方い移動する形式なので、ホイールハウス内前方にタイヤが移動すること、またスライドドアとの干渉が起きる可能性があるので、その点に留意して計測する必要があります。

初代TCR型エスティマのリアサスはリンク式コイルリジットでした。車軸の位置を前方向からのリンクとラテラルロッドで位置決めしますが、車高を落とすと片側が引っ込み、反対側が出るというセッティングになります。現在でも一部の軽自動車に採用される形式で、ラテラルロッドの交換によって位置を正す必要があります。

プリウスのツライチ

トヨタのハイブリッドカー「プリウス」。未来的なデザインから少し車高を落としてツライチにするとかっこよく決まります。この車もサスペンションは前輪がストラット、後輪がダブルウィッシュボーンです。

従来型は、リアにトーションビームを使用していて、この点はエスティマ、アルファード系と留意点は共通です。プリウスならではの点として、ボディサイズが前者に比較し小さく、ホイールハウスの奥行がない為、太いタイヤが履きにくい点です。

また、インチアップに伴い、ホイールが重くなること、純正に比較して太いタイヤを履くことにより、燃費の低下が懸念されます。

マツダRX-8のツライチ

ロータリーエンジンを搭載し、観音開きのリアドアと、スポーツ性能とユーティリティを兼ね備えた一台。ツライチというか、そのスポーツ性能に磨きをかける為に、足回りのチューニングとして、タイヤ・ホイールの交換に手をつけるユーザーも多いでしょう。

この車は、今までのFFベース車と異なり、今日の国産車では少なくなったFRレイアウトを採用しています。前輪にはダブルウィッシュボーン、後輪には、セミトレーリングアームを発展させたマルチリンクサスペンションを採用しています。ジオメトリ変化が大きく、ハの字のネガティブキャンバーがつきますので、車高を落とした状態でインセットを計測します。

プリウス同様に、あまりホイールハウスに余裕がなく、前輪は狭いスペースにハイアッパーアームのダブルウィッシュボーンと、サスペンションストローク時の動きを十分考えたセッティングにしないと、ボディやアームに干渉という危険があります。

ツライチのやり方

ツライチの計算方法は、基本的には一緒で、フェンダーの一番上部から五円玉等の重りを付けた糸を垂らし、ホイールのリム部から垂らした糸までの距離を測ります。また、ツライチにはホイール・タイヤ交換と車高の調整がセットにされていることも多く、サスペンション形式によって注意すべき点がいくつかあるので、代表的な車両についてあげてみます。

ホイールインセットの考え方

まず、ツライチに重要なホイールインセットの基本について説明します。ホイールインセットは、ホイールにET〇〇と記載され、ホイールに鋳型として記載されている場合やシールで貼られている場合など様々ですが、純正ホイールの場合は鋳抜かれているか、打刻されていることが多いようです。

インセットは、タイヤの接地面方向からホイールをみたセンターが、中心からどれだけ外に出ているかという数値になり、数字が大きいほどセンターは外に出てホイールリムは内側に入ります。ツライチとは逆になります。センターがずれるということから、かつてはオフセットと呼ばれていましたが、最近はインセットで統一されてきています。

スペーサーによるツライチ

ツライチにする場合、ホイールを簡易的に外に出したい=インセットを減らしたい場合に簡易的に用いられるのがスペーサーです。スペーサーにも二種類あり、ハブボルト、ラグボルトにかけるだけの簡易的なものから、一度ハブにボルト等で固定し、更にホイールを取り付けるものがあります。

前者は、5mm程度の薄めのもの、後者は20mm以上のインセットとなることが多いです。
前者は、ホイールがハブに密着せず、ホイールボルト、ナットのかかりが浅くなることから、高速回転時の振動や破断といったトラブルに繋がりかねず、避けた方が無難です。

どうしても出したい場合は、後者のボルト固定のスペーサーを利用した方がよいですが、高価なので、ホイールのインセットをしっかりと計算した方がよいでしょう。

ツライチのデメリット

ツライチのデメリットは、多数あります。基本的にホイールセンターが本来よりも外に出るので、テコの原理で路面の状況によって、ハンドルがとられたりといった現象につながり、ハンドルの戻り(セルフアライニング力)の低下が生じる可能性があります。

同じ理由から、サスペンション各部働く力も強くなり、ゴムブッシュや、ジョイント部に負担がかかりますので、遊びやガタ、きしみ音につながります。

車高を落とした場合ですが、本来、水平状態のドライブシャフトが、若干上反角なので、特にFF車はユニバーサルジョイント等に負荷がかかります。

そして、縦列駐車時に縁石にヒットさせる可能性が高くなり、場合によってはエア漏れ、走行不能といったトラブルにつながりかねません。

オシャレは足元から

カーデザイナーが書いたイラストや、モーターショー等で展示されるコンセプトカーはどれも、フェンダーとタイヤの隙間は皆無で、大径タイヤを履き、とてもスタイリッシュにみえます。しかし、実際に販売されるモデルは、実用性を考慮して、その部分が異なる場合が多いです。

しかし、メーカーが膨大な開発費をかけ、テストを重ねた結果、市販されるモデルとなっているので、何かを変えるとどこかが悪くなり、両立させることは難しいのが、工業製品としての車です。

デメリットを理解し、見た目といった特定の領域にフォーカスしてカスタマイズするのも決して悪いことではありませんが、場合によっては大きく性能を落とすこともあるので、留意して、楽しんでください。

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