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ディーゼルエンジンが搭載された昔の軽自動車・なくなった理由

更新日:2024年04月15日

近年続く軽自動車ですが、軽自動車だから軽油を入れてしまうドライバーが意外と増えているそうです。これは思いもつかなかった発想で意表をつかれましたが、維持費の安い軽でディーゼル車が出たら最強じゃないの?それは可能なのか検証します。

ディーゼルエンジンが搭載された昔の軽自動車・なくなった理由

ディーゼルエンジンが搭載された昔の軽自動車

現在はトラクターの生産で有名なヤンマーからその昔は、まだ軽トラックの市場が発展する前の1960年に登場した国内初で最後となったディーゼル軽自動車トラック「ポニー」が発売されました。空冷V型2気筒358ccで最高出力9ps/3600rpmです。

当時はまだ日本中で、3輪軽自動車トラックが走っていた時代で、4輪軽自動車トラックとはたしてどちらがいいのか誰もわからない手探りの時代でした。結果的に、ガソリンエンジンの軽自動車トラックが勝ち残り、3輪軽自動車トラックの会社すら4輪軽自動車トラックに生産を切り替え、自動車業界から完全撤退した命運が現在のヤンマーを築き上げました。

軽自動車とは?

軽自動車とは660cc以下の4輪軽自動車、または3輪軽自動車を指し、なぜという意外なところでは125cc以上250cc以下の自動2輪も軽自動車のくくりです。しかしながらそんな事は、今日までのバイク業界の目ざましい発展から、時代と共にすっかり忘れ去られたと言えるでしょう。

ターボってあるの?

軽自動車国内規定660ccにわずかオーバーする、793cc2気筒で「SUZUKI自動車」のインド工場が、ディーゼルエンジン・ターボを開発しました。近年、「SUZUKI」はインド市場での売り上げが好調で、国内とは全く違う世界市場へ向けた方向性を開拓しつつあります。

国内で「SUZUKI」といえば軽自動車主力のイメージですが、インドなどではミニバンクラスが主力となっています。今回のコストがかかるにも関わらずディーゼルターボ開発に踏み切った背景には、海外市場への参入という狙いがあります。

そのためには日本の道路条件とは異なる、ハイウェイが多い海外の速度規制に合った条件という壁があり、勝算の切り札がターボ車になります。この巨大な世界市場での成功が第一で開発された今回のディーゼル・ターボエンジン、国内のしかも軽分野にわざわざコストをかけて改良する可能性があるかは疑問です。

軽自動車がヤンマーのディーゼルエンジンを搭載しなくなった理由

ディーゼル軽自動車トラック「ポニー」の生産中止に追いやられた失敗を機に、ヤンマーは自動車業界から完全撤退しました。低排気量ディーゼルエンジンという特殊性が、同クラスのガソリンエンジン車に比べ、残念ながら出力馬力がかなり低く、わずか2年で生産中止になりました。

しかし、自社開発、開拓精神の強いヤンマーは、当時技術的にもハードルの高かった小型ディーゼルを武器に確かな信頼性と耐久性の高さを追求した結果、国内外での世界的な農業機械分野での成功のみならず、船舶小型エンジンやゴミ処理機械などの環境分野にも精力的に進出しています。

その後のディーゼル開発が、どのメーカーも軽自動車分野に進出しなかったのは、ディーゼルの特性的な壁があります。軽車両国内規定の660cc以内というのがネックで、小型化することによって回転数域や熱効率が悪くなり、ディーゼル本来の良さが発揮されないエンジンになる問題があります。

ディーゼルエンジンを搭載した車と軽自動車の違いと比較

ディーゼルエンジンのメリットは、やはり燃費の良さと耐久性でしょう。その反対にデメリットもあり、ディーゼル車による排気ガスの大気汚染数値の問題は、環境問題が注目されている現在では昔よりシリアスになりました。

そしてもう一つは振動とエンジン音のうるささです。信号待ちの時などシフトレバーがブルブル震えるほど振動が伝わってきたり、車内での会話が聞こえないほどエンジン音がうるさい時代もありました。しかし、現在のディーゼルエンジン車の進化は目覚ましく、これらの問題基準値をすべてクリアーしています。

それどころか最近では、ハイブリット化が進み国内外の自動車メーカーが、こぞって開発のしのぎを削りあっていますので急激な進化を遂げています。そんなディーゼルの魅力を経済的にクラスの軽自動車といろんな角度から検証してみます。

排気量

軽自動車の排気量は現在国内では660ccです。しかし、これでも昔よりは規制が緩められ当初は360ccからはじまり、550ccの時代が14年続きました。段階的に排気量が引き上げられた背景には排ガス規制と馬力のバランスや、軽自動車ボディサイズの基準引き上げによる車体重量アップなどがあります。

ディーゼル車の場合、排ガス基準の引き上げにともない、基準に満たない車両登録を新旧とも規制し、大気汚染防止対象にされており、新車ディーゼル車は厳しい数値をクリアしています。

世界最小ディーゼルエンジンになると、前述したインド生産のみにとどまっている「SUZUKI自動車」製のE08A型793cc2気筒ディーゼルエンジンが現在最小クラスのです。世界クラスの技術を持ってしても、実用化までの開発コストや確実な勝算を含め、ディーゼルの軽自動車並み小型エンジン化がいかにハードルが高いかがわかります。

軽最高燃費

軽自動車の最高燃費は、スズキ「アルト」で37,0km/Lが圧倒的で第1位です。新シリーズは40km/L越えの期待も高まっています。上位のほとんどがスズキ自動車ということからも、燃費のスズキと言ったところです。

ディーゼル最高燃費

軽とはエンジンの大きさが違うので比較というよりは参考までですが、ディーゼル車の最高燃費は、マツダ「デミオ」のマニュアルタイプで21,40km/Lです。海外のディーゼル車燃費を見てもシトロエン「C4」が18,15km/Lなので、日本製は圧倒的です。

維持費

軽の維持費はスズキ「アルト」で計算してみましょう。月に換算すると約36000円です。これは購入ローン、任意保険、ガソリン代(通勤)、自賠責、自動車取得税、車検、駐車場(1万円の場合)、重量税、軽自動車税をすべて合計し一月にならした計算です。

ディーゼルの維持費はマツダ「デミオ」で計算してみます。こちらの場合も同じ条件でならすと約月52000円です。軽に比べ普通車なので車体価格と、各税、の高さから一月16000円の差がつきました。

軽の最高馬力

軽自動車の最高馬力は64馬力です。そして同時に規制基準も64馬力以下です。それには理由があり時代は80年代のバブル経済前のころ、軽自動車の馬力開発に一石を投じたのがスズキ「アルトワークス」でした。

力強い加速は軽の常識やイメージを覆しましたが、同時に馬力競争の激化を危惧するものでした。軽という特性からボディの薄さにも限界があり、万が一の死亡事故などの安全性を考慮し64馬力というのはメーカーが自主規制した基準です。

ディーゼルの圧倒的な馬力

ディーゼルの最高馬力はBMWの「XD3」で350馬力です。馬力の上位はほとんどがヨーロッパ車で、BMWの他にもベンツやシトローエンなどが並びます。現在の日本車ディーゼル車のほとんどが100馬力台です。ちなみにディーゼルでも船のタンカーエンジンになると110万馬力です。

ディーゼルと軽の魅力

日本は免許を取るところから自動車を維持するまで、世界でもにお金がかかる仕組みの国です。国土も道路も狭いので、車両台数を減らす狙いもありますが、渋滞や事故はなくなりません。

産業経済に関わる車以外は、小型でお金がかからない車として軽自動車がです。その延長にディーゼル車の軽自動車の登場を期待する声があります。この発想は世界でも車両維持費が異常に高い日本ならではです。

海外ではディーゼル車に期待するのは馬力と耐久性です。お国が違うとこうも需要というか考え方が違うという意味では面白い発想です。しかし実用化は高いリスクで国内だけの市場となるとなかなか難しいと言えます。

初回公開日:2018年03月07日

記載されている内容は2018年03月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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