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ブレーキキャリパーの塗装の特徴とオーバーホールとの違い

更新日:2024年03月20日

ブレーキキャリパーの色がカラフルだったり、非常に大きなブレーキキャリパーを見て自分の車にも同じようなカスタマイズをしたいと考えた人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ブレ―キキャリパーの塗装の特徴やその方法を詳しく解説していきます。

ブレーキキャリパーの塗装の特徴とオーバーホールとの違い

ブレーキキャリパーの構造

車はブレーキによって止まることができます。ブレーキを踏むとブレーキブースターを介してその力が倍増され、ブレーキキャリパーに油圧によってその力が伝わり、ディスクを挟み込み車は止まります。

ブレーキキャリパーは大きく分けて2種類の方法で作動させています。一つは片押しタイプで浮動式とか、スライド式と呼ばれています。この方式はブレーキキャリパーのスペース効率とコスト低減に優れ、スポーツカーや高級車以外の車種で採用されています。もう一つはスポーツカーや高級車に使われる固定キャリパーになります。

片押しブレーキキャリパー

片押し式はキャリパー本体とキャリパーをナックルに止めるキャリパーベースとに分かれます。その二つはキャリパーピンで止められており、双方がキャリパーピン上を平行に移動できるようになっています。

ブレーキをかけるとキャリパーピストンが出てきてピストン側のブレーキパットを抑えます。それと同時に固定されていないキャリパー本体がキャリパーピン上をスライドして反対側のブレーキパッドも押さえつけられてブレーキが効く仕組みとなっています。

固定キャリパー

固定キャリパーは対向ピストンキャリパーとも呼ばれ、2枚のブレーキパットの両方にピストンが配置されたブレーキキャリパーです。片押しキャリパーのような複雑な動きではなく、単純にピストンを押し出し、両方のブレーキパットを押してディスクを挟み込みます。

固定キャリパーは両方のブレーキパッドをそれぞれのピストンで押すことで片押しキャリパーより強力で確実な制動を得ることができるので、スポーツカーや高級車には積極的に採用されています。

ブレーキキャリパーの塗装の特徴

純正のブレーキキャリパーは塗装がされていないことが多いことから味気なく、カスタマイズとして塗装をしたいと考える人も多いのではないでしょうか。しかしブレーキキャリパーはブレーキを踏むことで、ブレーキパッドから発する摩擦熱で高温となります。そこで使用する塗料は耐熱塗料の使用をすすめます。

ブレーキキャリパーは複雑な形ですから、スプレーで塗装しなくても刷毛塗りで綺麗に塗装することができるのが特徴です。また、ブレーキキャリパーを好みの色で塗装すれば、ホイールの隙間から見える存在感は見違えるほど精悍になります。

塗装のやり方

ブレーキキャリパーを塗装する場合は、車からタイヤを外しての作業となります。業者に依頼するとブレーキキャリパーを取り外し表面をつるつるに磨いてから塗装しますが、キャリパーは取り外さずに刷毛塗りで塗装しても十分綺麗に塗ることができます。

ブレーキキャリパーを塗装する場合、車をジャッキアップした状態での作業ですから、安全には十分注意して作業を行うようにして下さい。

車のタイヤを外したら、安全のためにリジットラックをかってから作業をします。最初にブレーキキャリパーの汚れや油分を落とす必要があるので、ブレーキクリーナーとワイヤーブラシできれいに掃除をします。汚れが残っているとその部分に塗装しても剥がれるので、妥協せずに確実に清掃します。

清掃が終わったら、余計な部分を塗装しないようにマスキングをして刷毛で塗っていきます。半乾きになったら塗装する作業を3回繰り返せば完成です。

ブレーキキャリパーカバー

ブレーキキャリパーを塗装する方法でドレスアップするのも良いですが、キャリパーカバーでまるで4ポット対向ピストンにブレーキキャリパーを交換したかのように見せるパーツもです。

ブレーキキャリパーを交換するとなれば相当な金額になりますが、このキャリパーカバーでしたら、2個で1,680円で購入でき、取り付けも耐熱2液性接着剤か、ステーとボルトで取り付けができます。

サイズも汎用でSとMのサイズ設定があり、Sサイズはほとんどの軽自動車のフロントやリアのブレーキキャリパーに適合します。そしてMサイズはほとんどの普通自動車のフロントキャリパーにに適合します。

サイズさえ合えばどの車種にも使用できますが、ただしホイールのオフセットによってはホイールに干渉する恐れがあるためスペーサーが必要になります。

ブレーキキャリパー掃除とオーバーホールの違い

ブレーキキャリパーは長く使っていれば、ブレーキダストで汚れてきますから、その汚れを掃除したいと考える方も多いでしょう。しかしブレーキは長く使っていれば汚れだけではなく内部機構も劣化するので、掃除とは別にオーバーホールを必要とすることがあります。

ブレーキキャリパーの清掃は、キャリパーの表面の掃除とブレーキパッドがはまっている部分の掃除の事を指します。清掃であれば個人でもブレーキクリーナを吹きかけて簡単に掃除することができます。

しかしブレーキキャリパーの洗浄となればオーバーホールの事で、ブレーキキャリパーを取り外して内部を分解し、劣化したパッキンを取り換えてピストンなどを洗浄する事になるので、整備工場で行う必要があります。

オーバーホールの仕方

ブレーキキャリパーをオーバーホールする場合は、オーバーホールキットを購入します。オーバーホールキットには、スプリング、ピストンシール、ピストンダストブーツ、スライドピンブーツ、グリスから構成されています。

オーバーホールには、ピストンを抜くのにピストンツールがあると便利ですが、ブレーキの油圧を利用して抜く方法や、エアーを利用して抜く方法があります。いずれにしてもブレーキオイルの飛び散りには注意をして作業を進める必要があります。

ピストンが抜ければ、ピストンやシリンダー内に腐食によるピンホールが無いか確認をして磨いていきます。磨きが終了したら組付けですが、ピストンダストブーツをキャリパーに組み付けてからピストンを入れます。組み付ける際にはブーツやパッキンにグリスをまんべんなく塗布してから組み付けるようにします。

ブレーキオーバーホールの注意点

ブレーキオーバーホールで注意する点は、ピストンダストブーツを道具で穴を開けないように注意する事と、ダストブーツが確実に取り付けられているか、そしてブーツを止めるスプリングがすべてのブーツを確実に抑えているか何回も確認をする必要があります。

確実にブーツが取り付けられていないと隙間から水分が侵入して錆の発生に繋がります。また錆の発生でピストンの動きが悪くなりブレーキの引きずりなどの現象がおきる事があるので注意が必要です。

その他、ピストンやシリンダー内にキズをつけると、そこからブレーキオイルが漏れだす恐れがあるので、キズを付けないように注意して研磨洗浄する必要があります。

ブレーキは車の部品の中で最重要部品になります。もし間違った方法で組み付けてブレーキが効かない事態になると大事故に繋がるので、自信が無い方は絶対に行わないようにして下さい。

ブレーキキャリパーの交換方法

ブレーキキャリパーを交換する方法は、ブレーキラインを切り離す必要があるので、エアー抜きの作業が加わります。

ブレーキキャリパーを外す場合、ブレーキパッドを取り外し、ブレーキオイルのラインを切り離します。オイルが漏れるのでウェスでホースを巻くか、ペットボトルの中にホースを入れるなどしてブレーキオイルの飛散防止をします。

ブレーキキャリパーベースがボルト2本でナックルと止まっているので、それを外せばキャリパーは外れます。取り付けは逆の手順で行いますが、ブレーキパッドを再利用する場合は、ブレーキパッドを抜く際に向きや回転方向をマーキングしておく必要があります。

ブレーキキャリパーが取り付けられたらエアー抜きをして終了ですが、交換したキャリパーのみのエアー抜きだけで問題ありません。しかしリザーバータンク内を空にしてしまった場合は、全輪のエアー抜きが必要になるので注意してください。

ブレーキローター

ブレーキを構成する部品の一つであるブレーキローターですが、ローターに不具合が無くブレーキキャリパーを純正品と交換するのであれば、そのまま使用しても問題はありませんが、社外品のブレーキキャリパーに交換する際は、ローターもキャリパーのサイズに合わせた商品と交換する必要が出てきます。

ローターにはベンチレーテッドディスクとソリッドディスクとがあります。ベンチレーテッドディスクとは、ソリッドディスクのように1枚物ではブレーキの排熱が不十分と考えられるときに2枚を隙間を空けて重ね合わせ、その隙間に多数のフィンを作り放熱効果を高めたローターです。

スポーツカーなどでは、ベンチレーテッドディスクにスリットを入れたり多くの穴を開けたドリルドローターを採用し、より制動性と放熱性の高めたローターを使用しています。またハイパワーなスポーツカーでは高温時の強度に優れたカーボンブレーキを採用しています。

対向ピストンキャリパーのすすめ

ブレーキキャリパーを交換すると決めたら、対向ピストンキャリパーの導入を検討してみたらどうでしょう。今までよりブレーキ性能が格段にアップし、少ない踏力で車を止めることができます。

今ついているブレーキホースや、ブレーキローターをそのまま使える商品もあるので、さらなるブレーキ性能を求めるなら対向ピストンキャリパーがです。

ただし専用のブレーキパッドとなるので、ブレーキパッド代は純正品のブレーキパッドより高価になるのがデメリットです。その他には特にデメリットは考えにくく、むしろメリットの方が多いと言えます、ホイールから除くブレーキキャリパーは、他車を圧倒するのは間違いありません。

ブレーキパットの選定方法

ブレーキパッドは、ブレーキキャリパーに装着してローターの回転を止める重要なパーツです。ブレーキキャリパーを交換してもブレーキパッドが摩耗していては、せっかくのブレーキキャリパーも宝の持ち腐れになるでしょう。

ブレーキパッドは、キャリパーを販売しているメーカーから専用のパッドが用意され、走りのステージに合わせたパッドが用意いされています。またメーカーによっては、自分の好みのブレーキパッドを作成してもらえますから、自分の好みのブレーキパッドがなければメーカーに問い合わせすると良いでしょう。

ブレーキキャリパー

ブレーキキャリパーを販売しているメーカーは数多くありますが、どこも同じというわけではありません。耐久性や販売しているブレーキパッドの性能も気になるでしょう。

特におススメなのは、乗用車であれば4POT対向ピストンブレーキキャリパーです。スポーツカーや重量のある高級車では6POT対向ブレーキキャリパーが良いでしょう。またリア用にも2POT対向キャリパーの設定があるメーカーもあるので、前後で交換すればより素晴らしいブレーキ性能を得られるでしょう。

ブレンボ

世界レベルのブレーキ部品メーカーのブレンボからは「グランツーリスモブレーキキット」が販売されています。このキットには、キャリパー、ブレーキパッド、キャリパーブラケット、ディスクローター、インナーベル、ブレーキラインがセットになっており、このセットだけですぐに取り付けて使用することができます。

ブレンボのブレーキキャリパーはアルミ製で車種専用設計となっています。ブラケットは耐久性を考えたジュラルミン製で、純正と交換する事でブレンボのブレ―キャリパーを安易に装着することができます。

同梱されているブレーキパッドは、ストリートからスポーツ走行を想定したパッドとなっており、温度帯は0〜550℃に設定しています。最高のブレーキ性能を発揮するのは200℃から300℃ですが、550℃を超えても耐えられるブレーキパッドとなっており、まさに世界最高水準です。

ブレーキキャリパーの清掃方法

ブレーキキャリパーを清掃する場合は、ブレーキクリーナーか、パーツクリーナーで洗浄するのが良いでしょう。

ブレーキダストはそのままにしておくと、焼き付いてしまい取り除くことが困難となるので、こまめな清掃が重要です。清掃の仕方は、ブレーキクリーナーのジャンボ缶840mLを車一台で使い切る気持ちで大量に吹きかけて清掃することがポイントです。

ケチケチ使っていては、汚れは取れません。汚れが取れないからとワイヤーブラシでこするとキャリパーに傷をつけてしまうので、ブレーキクリーナーを吹きかけたらウェスで拭き取るようにしてクリーニングします。

再塗装して販売されるブレーキキャリパーの安全性

ブレーキキャリパーを再塗装して販売している業者や個人の方が見受けられます。しかも世界中の人が欲しがるブレンボ製を格安での販売しています。

ブレンボ製のブレーキキャリパーに限らず、色を塗り替えて販売するのに新品を使って色替えなどするはずがありません。必ず中古品や盗品などを色替えして販売しています。どのような使われ方をしていたか見当もつかないブレーキキャリパーを装着することは、非常に危険なことになります。

スバルのWRX STIにはブレンボのキャリパーが標準で装着されていますが、一部の業者では、このキャリパーを色替えしてBRZやトヨタ86用として販売しています。STIとBRZや86とではブレーキキャリパーの取り付け位置が違う事で、エア抜きが完全にできません。

このようにフェイク品が世の中に出回っているので、再塗装したと思われるブレーキキャリパーは購入しないようにしましょう。

ブレーキキャリパーは命を乗せています

ブレーキキャリパーは、車を止めるための重要部品です。エンジンが故障してもただ止まるだけで済みますが、ブレーキが故障すれば、車を停止させることができなくなり大事故に繋がります。

ブレーキをカスタマイズする場合は、安易に分解をすることは避け、もし分解が必要であれば、知識と技術のある方の指導の下で作業するようにしましょう。

ブレーキカスタマイズも車のカスタマイズの中ではかなり定番の方法ですが、安全には十分気を付けて楽しいカーライフを送りましょう。

初回公開日:2018年04月06日

記載されている内容は2018年04月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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