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オーバーフェンダーの構造と特徴・車検での基準・自作の仕方

更新日:2024年01月14日

今回はオーバーフェンダーの構造や特徴、そして車検時にはどんな基準があるのかを解説します。自作でオーバーフェンダーを作成する方も非常に多いので、上手く作業ができない方はオーバーフェンダーの作成の仕方も詳しくご紹介しますので参考にしてみてください。

オーバーフェンダーの構造と特徴・車検での基準・自作の仕方

オーバーフェンダーの構造と特徴

フェンダーはタイヤが巻き上げる泥水や砂埃、石などをまき散らさないようにタイヤを覆い、乗員や歩行者を保護するために取り付けてあります。オーバーフェンダーとはそのフェンダーにさらにかぶせるもので、特に幅の広いタイヤやホイールを取り付けた時に車体よりはみ出る場合にはオーバーフェンダーを取り付けます。

オーバーフェンダーは樹脂製で作成されたものが多く、リベットやビスを用いて止められます。車体からはみ出る量は片側10mmで両側20mmを超えてしまうと、そのままでは構造変更をしないと車検に通すことができません。

オーバーフェンダーとブリスターフェンダーの違い

オーバーフェンダーとブリスターフェンダーはどちらも車幅を広げるという意味では同じですが、細かい部分を見ていくと違っています。

オーバーフェンダーは、旧車に装着されているイメージを持たれている方が多いでしょう。実際にS30ZやハコスカGTRにはオーバーフェンダーを装着してました。生産ラインを共用して幅広い車種を作りたい場合、オーバーフェンダーは非常に便利なアイテムだからです。

ブリスターフェンダ―とは、膨れたフェンダーの意味で既存のフェンダーを大きく膨らませたフェンダーの事です。ポルシェやランボルギーニなどのハイパフォーマンスカーは、始めからブリスターフェンダーありきのデザインとなっており、膨らませたフェンダーがデザインの象徴となっています。

このようにオーバーフェンダーはくっつけた物で、ブリスターフェンダーとは既存のフェンダーを膨らませた物です。

車検でのオーバーフェンダーの基準

オーバーフェンダーを装着すると車の車幅が変化するので、その変化が車両の両側合わせて20mmを超える場合は構造変更をしなければなりません。また取り付け方法にも注意が必要で、商品によっては両面テープのみで取り付けるようになっていても、ビスなどでしっかりと外れないように取り付けなければ車検に通すことはできません。

車体寸法の測定は、保安基準においてcm単位で行われ、1cm未満は切り捨てるようになっています。そこで市販されている車検対応で構造変更のいらないオーバーフェンダーは、その切り捨てる1cm未満を利用した製品になります。これらの製品は厳密にはフェンダーモールと呼ばれ、保安基準上のオーバーフェンダーは片側1cmを超える商品の事を指します。

構造変更

構造変更が必要になるオーバーフェンダーは片側1cmを超える場合になります。構造変更は構造変更検査といい、車の長さ、幅、高さ、乗員数、最大積載量、車体の形状、エンジン、燃料、用途などに変更が生じた場合に受ける検査になります。

構造変更検査は基本的に継続検査と流れは同じですが、保安基準を満たしているか確認する検査なので、非常に厳格に検査は行われます。提出する書類も不備があれば何回もやり取りを行う必要があり、専門家に依頼したほうがスムーズに構造変更検査に合格するでしょう。

取り付けに際しても注意が必要で、車幅が2cmを超えないオーバーフェンダーを装着する際、溶接やリベットで取り付けると構造変更検査が必要になりますので、取り付け方法にも注意が必要となるでしょう。

構造変更は再車検?

構造変更検査を受ける場合は車に車検が残っていても1回車検を切ってから新規に車検を受ける事になります。例えば車検残存期間が1年あったとすると、構造変更検査時に残っている車検を切り捨てられ、構造変更検査に合格した日から2年後が次回の車検となります。

構造変更検査を必要とするオーバーフェンダーを取り付ける際には、車検後すぐに取り付けて構造変更検査を行うと、せっかく車検をとっても新たに車検の取り直しとなるので、費用が無駄となります。車検を受けるタイミングでオーバーフェンダーを取り付けて構造変更検査をすれば、車検と同時にできるので費用も節約できるでしょう。

オーバーフェンダーの自作の仕方

オーバーフェンダーは多くのメーカから販売されていますが、既製品では自分好みが見つからず、自作で何とかオーバーフェンダーを作りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

自作でオーバーフェンダーを作る場合、初めから無い物を作るにはかなりの技術が必要となります。そこで既製品を購入して加工する事で自分好みのオーバーフェンダーにした方が簡単に制作できます。オーバーフェンダーを装着した時のイメージを考え、より近いオーバーフェンダーを購入し、延長したりダクトを設けたりするとよいでしょう。

diy

DIYでオーバーフェンダーを作成するには、FRPを使い既存のオーバーフェンダーを改造するのが簡単です。張り出しを大きくする場合、ホームセンターに売っている断熱材を利用して土台を作ると良いでしょう。紙粘土が100均で売っているのでそれを既存のオーバーフェンダーに断熱材を切りながら好きな形に貼り付けていきます。

貼りつけ終わったら粘土が固まるのを待ってから表面をサンドペーパーで形を整えて、マスキングテープやガムテープを綺麗に貼ります。既存のオーバーフェンダーにFRPを貼り付けるための足付けをしてから、FRPを貼っていきます。FRPが硬化したら断熱材と粘土で作った土台を取り外せば、ワンオフのオーバーフェンダーのでき上がりです。

型の制作

もともと何もない状態からオーバーフェンダーを作る方法は、現車に発泡ウレタンで張り付けていく方法や、鉄板を溶接して形を作る方法があります。しかしこの方法では作成中に車体を動かせないデメリットがあり、日々車を使用する方には不向きといえます。

そこでオーバーフェンダーの型を作れば、型を作る時だけ車は動かせませんが、型が作成完了すれば車は使用できるメリットがあります。型の作り方には色んな方法がありますが、発泡ウレタンとスタイロフォームをボディーに貼り付けて型を作る方法が削って形を作りやすいのでよいでしょう。

方法は、フェンダーにスタイロフォームを発砲ウレタンで貼り付けます。硬化後に削って形を作りマスキングテープを貼ってからFRPを貼っていきます。硬化した後にFRPと作成した型を取り外してしまえば、車は使用できます。

FRPで制作

FRPの制作は、空気を入れないで積層させていくことがポイントです。ガラスマットを敷いたところに樹脂を刷毛やローラーで塗っていきます。FRP樹脂は硬化剤を混ぜると硬化が始まりますから、手早く作業する事が肝心です。

ローラーを使ってエア抜きができていないと硬化後に白くなり、削ると空気が入った部分に穴が開いてしまいます。最初にガラスマットを必要枚数切り出して、作業中に慌てることが無いよう段取り良く作業する事が失敗しないポイントです。硬化が始まったらその樹脂を諦めて作り直す気持ちで行いましょう。

塗装

FRPなどで自作したオーバーフェンダーはそのままでは、FRPの樹脂とガラスマットが見え、しかもデコボコしているのでそのまま塗装しても非常に見栄えが悪いです。そこで樹脂パテを使ってFRP表面を整形してから塗装します。

パテはあまり多く盛り過ぎると重量が重くなりすぎてフェンダーに悪影響を与えるので、なるべく薄くつけても大丈夫のようにFRPをできるだけ平滑にしておくことが重要です。

パテを盛って平滑に研ぐことができれば、プラサフを塗装して乾燥させます。プラサフを塗るとデコボコがわかるので、ポリパテなどを使い微調整すると良いでしょう。

プラサフを800番の水研ぎペーパーで足付けすれば後は好きな色に塗装するだけです。塗装には車と同色にするのも良いですし、違った色で個性を出すのも良いでしょう。

オーバーフェンダーの貼り付け方

オーバーフェンダーを車に貼り付ける場合、一般的な方法としては、タッピングビスと両面テープで張り付けます。貼り付ける位置も最初に仮合わせをしてから取り付けるようにします。左右均等に張り付けるために必ず左右同時に仮合わせをしましょう。位置合わせには、わかりやすい基準点を数か所決めて行うと位置が出やすいです。

この他にもリベットを用いた取り付け方法や、ボルトとナットを使用して取り付ける方法もありますが、いずれも車両側に何か所かドリルで穴を開ける必要がありますので、フェンダー側の錆止めを十分にしなければ錆の発生につながるので注意が必要でしょう。

リベットを使用した場合

リベットでオーバーフェンダーを貼り付ける場合はドリルとリベッターが必要になります。またリベットで止めてしまうと、構造変更をしなければなりませんので注意が必要です。

リベットで取り付ける場合は、穴を開ける位置をオーバーフェンダー側に穴を開けてからボディー側に位置合わせをして取り付けていきます。取り付ける位置合わせは左右同時に同じになるように行います。オーバーフェンダーの頂点から場所を決めてリベットで止めます。その後左右交互にリベットで止めて最後はオーバーフェンダーの両端で止めるようにします。

ボルトナットで固定した場合

ボルトとナットを用いてオーバーフェンダーを取り付ける方法はフェンダーの内側にナットを仕込まなければならないので、取り付けには不向きといえるでしょう。

フロントフェンダーのように裏側に手が入ればよいですが、リアフェンダーはモノコック構造で袋状になっているために、フェンダーの裏側に手が入りませんからボルトとナットで取り付けるには不向きといえるでしょう。

両面テープで固定できるか?

オーバーフェンダーは両面テープで固定する事は可能です。しかし両面テープだけでは脱落する危険があるので車検には合格できません。必ず両面テープにタッピングビスなどを併用して固定するようにしましょう。

両面テープは強力な車外専用のものを使用します。貼り付ける前には車両側とオーバーフェンダーを入念に脱脂作業をしてから貼り付けますが、一度脱脂をした場所を素手で触らないように注意してください。タッピングビスは、目立たない下側で止めるとよいです。

取り付け手順は、両面テープの端を少しだけ剥がし、位置合わせした場所に貼り付けます。その後両面テープの少しだけ剥がしたフィルムを引っ張りながら貼っていきます。そして同時にオーバーフェンダーを押し付けて密着させます。

最後に全体にしっかり押し付けて張り付けます。しっかり張り付いたらタッピングビスの穴を開けてビス止めすれば完成です。

タイヤとオーバーフェンダーの関係

タイヤとオーバーフェンダーは密接な関係にあり、タイヤが車体からはみ出す場合はオーバーフェンダーは必要です。

保安基準でこれまでは、クルマのハンドルを直進方向にした際、タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲で、タイヤ、ホイール、ホイールナット、センターキャップなどの回転部分が真上にある車体よりひとつでも突出した場合、違法とされていました。しかし2017年6月22日より一部が解禁されました。

解禁された具体的なことは、ハンドルを直進方向にした際タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲において、10mm未満であれば、はみ出しても許可されるようになりました。これにより構造変更のいらないオーバーフェンダーは付けてもつけなくてもその範囲のタイヤのはみ出しであれば車検に通ることになります。

しかしそれ以上タイヤがはみ出す場合は、構造変更をしてオーバーフェンダーを付ける必要があります。

オーバーフェンダーの取り付け・加工にかかる工賃相場

フェンダーにオーバーフェンダーを取り付ける場合は幾つかのパターンがあります。それは塗装が要らない既製品のオーバーフェンダーの場合と、塗装が必要なオーバーフェンダーとに分かれます。そしてもう一つは完全ワンオフ制作を依頼する場合でしょう。

この中で一番工賃が高いのはワンオフ制作ですが、既製品の塗装が要らないオーバーフェンダーを取り付けるのであれば、5,000円ほどで取り付けてもらえるでしょう。しかし色付きとなると、車の色とオーバーフェンダーの大きさで金額が変わってきます。

塗装工賃は、ソリッドカラーが一番安く、シルバーメタリックとパール、そして一番高いのがパールホワイトになります。通常のメタリックと呼ばれている色で1台分のオーバーフェンダーを塗装すると、概ね2万円から3万円ほどの塗装料金がかかるでしょう。そこに取り付け工賃5,000円加算され、3万円前後からの取り付けが一般的でしょう。

オーバーフェンダーは専門業者に依頼しましょう

オーバーフェンダーは、車をワイルドに見せる事もできるので、カスタマイズとしては非常に効果のあるアイテムです。またオーバーフェンダーを付ければ今までサイズ的に履くことができなかったホイールを装着することができるので、商品の選択の幅が広がるのもうれしい所でしょう。

今回ご紹介してきたようにオーバーフェンダーには構造変更しなければ車検に合格できない場合もあります。車検時には素材や強度のチェックも行われ、タイヤとフェンダーのクリアランスも検査を受けます。

自分で取り付ける事も可能ですが、 足回りの硬さでフェンダーに当たってしまったり、足回りが干渉しないようにフェンダーをカットする必要があったりと、固定方法以外にも行う作業があるのでオーバーフェンダー取り付けの際は、専門業者に依頼する事を勧めます。

初回公開日:2018年03月08日

記載されている内容は2018年03月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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