Search

検索したいワードを入力してください

バックタービン現象の仕組み・メリットとデメリット・壊れる原因

更新日:2023年12月31日

バックタービンと聞いて何のことか即答できる人はかなりの車好きでしょう。そこで今回はバックタービン現象の仕組みとそのメリットとデメリットについて解説し、意外と間違われやすいブローオフとの違いやバックタービンで壊れる時はどういった時なのかを説明していきます。

バックタービン現象の仕組み・メリットとデメリット・壊れる原因

バックタービン現象の仕組み

ターボ車からは色んな音が聞こえます。「キーン」といったターボが過給する音から、「プシュー」といったブローオフの音だったりと、かなり色んな音が聞こえます。その中で派手に「シュルルルル」とか「パシュルルルル」といった音が聞こえる事があります。これはバックタービンの音です。

バックタービンとは、車を加速中に急にアクセルを抜くとスロットルバルブが閉じるために、それまでターボチャージャーで過給された空気がスロットルバルブのバタフライに跳ね返されてターボチャージャーに戻ってきます。その時にターボチャージャーのブレードに当たる時の音がバックタービンの音となって聞こえます。

バックタービンとはタービンに空気が戻るという意味で、低負荷の状態だと「シュルルルル」と聞こえ、高負荷になれば「パシュルルルル」と聞こえます。

音の原因はサージング

サージングとは送風機で発生する自励振動現象の一つで、自励振動とは外部に振動減がなく振動している物自体が振動減になっている現象です。

ターボでサージングのごとは過給できない状態の事を言います。ターボの羽が回っているの過給できない状態とは、吸入側の圧力に対して吐出側の圧力が高くなりすぎ、タービンホイールに沿って空気の流れが起きなくなり、結果過給出できない状態です。

この状態はバックタービンの状態で、アクセルオフでタービンの吐出側の圧力をブローオフバルブ(リサーキュレーションバルブ)で逃がしますが、逃がしきれなかった空気がタービンホイールまで戻っていきます。この時にコンプレッサーで吸い込まれた空気とぶつかり合い、圧力が一時的に高まり過給不能の状態になります。

この現象がターボが回転しているのに過給する仕事ができていないサージング現象という事になります。

ブローオフバルブとの関係

ターボ車のブローオフバルブとは、タービンコンプレッサーとスロットルバルブの間の圧力を開放するバルブの事です。しかしブローオフバルブから排出された圧縮空気には、排気ガスが含まれているので、排気ガスを大気に放出してはならない決まりから、タービンコンプレッサー手前の吸気管に戻されます。

このブローオフの機能は、ターボのサージング予防策の一つであり、ターボエンジンで急にアクセルを戻したときにもタービンコンプレッサーは回り続けているので、圧縮空気が逆流してもブローオフバルブが開放してタービンコンプレッサーに空気が衝突しない役目をしています。

純正のブローオフバルブはブーストを上げるとスプリングが弱く過給圧が逃げるといった話を聞きますが、これはサージングによるターボへの悪影響を抑えるためにあえて弱いスプリングにして、リリーフバルブとしての役目も持たせています。

スロットルバルブとの関係

スロットルバルブは、吸気管に取り付けられているバタフライ状の扉で、アクセル開度でそのバタフライの角度が変わり、吸入空気量を調整しています。このスロットルバルブがあるせいで、バックタービンが起きます。

その理由は、タービンコンプレッサーで過給された圧縮空気は、スロットルバルブを通過してエンジン内に入っていきますが、アクセルを急に閉じるとバタフライが一気に閉じられます。すると圧縮空気はタービンコンプレッサー側に戻り始め、ブローオフバルブで排出されます。

しかしブローオフバルブが作動しなければそのままコンプレッサーまで戻りサージングを起こしバックタービン現象となります。

バックタービンにするメリットとデメリット

バックタービンの音が出るようにして走行するメリットとしては、ブローオフバルブで過給圧を逃がさない分、アクセルを抜いてすぐにアクセルを踏んだ時の車の立ち上がり加速が少しだけ良くなる事と、その独特のサウンドでしょう。

また、バックタービン化により速さを手に入れるのと同時に、特別な車に乗っている感覚やスポーツカーに乗っている思いを強くさせる演出は、ターボ車を走らせていて楽しいでしょう。

デメリットとしては、タービンに対しての負荷の増加です。ノーマルブーストで走っている分にはそう簡単に壊れる事はないでしょうが、ブーストコントローラーを付けて、ハイブースト仕様にしているとバックタービンの音も大きくなる代わりにタービンへの負荷も大きくなりターボの寿命を短くすることが最大のデメリットです。

ターボチャージャーへの負荷

バックタービンが起きると、タービンコンプレッサーが過給していたところに、逆の空気の流れが襲うので、ターボチャージャーにはストレスがかかります。そのストレスは、結構大きなものですが、ノーマルタービンのノーマルブーストでバックタービンを起こしている状態では、タービンが故障する事は現在のターボではごくまれです。

しかし長く乗り続けたいとか、絶対に車を壊したくないと考えているのであれば、ノーマル状態で乗るのが一番です。車はメーカーで開発されたときに何回も耐久テストを行い世に出てきているので、そのバランスを崩した状態は想定をしていませんから、どのような故障リスクがあるのかは未知数です。

車の保証を受けたり、ディーラーで面倒を見てもらう事を優先として考えるのであれば、車に余計な細工はしないことでしょう。

バックタービンで壊れるときに考えられる原因

バックタービン仕様にしていて、ターボチャージャーが100%壊れない保証はありません。それはバックタービンにより、ターボチャージャーはかなりの負荷がかかっているからです。

ターボチャージャーの羽の軸受けには最近はボールベアリングを使用しております。そのタービンの軸受け部分は、1分間に20万回転を超え、また800℃~900℃の高温にさらされる過酷な状況の中で回転しています。

そこにアクセルを抜いた時に過給圧が逆流してくると、タービンコンプレッサーの軸受け部分に反対に回る力が働くので、大きな力で過給していればそれだけ大きな力がタービンコンプレッサーにかかります。ブーストを過度に高めてバックタービンを起こせば軸受けベアリングはいずれ破損する事になるでしょう。

ボールベアリングとフローティングシャフト

ターボチャージャ―は、排気側の羽と吸気側の羽をシャフトでつないでいます。そのシャフトが回転する時に、抵抗が少なくなるように、現在のターボチャージャ―ではボールベアリングを使用しています。

ボールベアリングは、以前のメタルシャフトと違い回転抵抗が50%低減されていると言われ、手で回してみると明らかにその回転抵抗の違いがわかります。

しかしターボチャージャーは冷却するためにオイルと水を利用していますが、タービンシャフトを直接冷却しているのはオイルです。しかしボールベアリングターボの場合、そのオイルを多く流し込めません。それはボールベアリングがオイルにより抵抗を受け、せっかく低フリクションがの意味が無くなってしまうからです。

タービンシャフトの破損

メーカー純正のターボチャージャ―のタービンシャフトにボールベアリングを使用し始めたころは焼き付きの問題が多く発生しました。その多くは、ブーストコントローラーにより過給圧を高めたり、バックタービンによるものでした。そのためにメーカーではメタルフロートシャフトに切り替える事をして対応していた時期もありました。

現在では、耐久性、耐熱性、そして小型で低トルク性の優れたベアリングの開発で、ボールベアリングが焼き付くような事例はなくなり、アフターアイドリングの必要性も全くなくなりました。

バックタービンにより負荷がかかる部分は、タービンシャフト自体ではなく、そこに使われるベアリングに負荷がかかりますが、現在のターボチャージャーではバックタービンを起こしても、昔のターボチャージャーより耐久性があるでしょう。

バックタービンが鳴る車の車検の通し方と注意点

バックタービンの音がして車検に不合格になる事はありません。バックタービンは、音が鳴るように何か専用のパーツを取り付けている訳ではありませんし、排気ガスを外に排出して音が出ている訳ではないからです。

バックタービンは、ブローオフバルブ(リサキュレーションバルブ)を殺すことで音が出ます。よくブローオフバルブを大気開放させ(プシュー)といった大きい音をさせて走る車を見かけますが、それはブローオフバルブの大気開放の音でバックタービンの音ではありません。

バックタービンとは現象の事であって部品名称の事ではありません。一方、ブローオフバルブは部品であり、取りつけ方法に不備があったり故意に部品の一部を取り外して音が出るようにすると車検に合格できません。

車種別バックタービンのやり方

バックタービンの音を鳴らす方法は、ターボ車であれば比較的簡単に行うことができます。専用のパーツなど一切必要なく、ホームセンターなどで売っている物を利用してお金をかけることなく、バックタービンの音を鳴らすことができます。

基本的方法は、純正の場合も社外のタービンやブローオフバルを取り付けている場合も同じ方法でバックタービンの音を鳴らすことができます。

方法は、ブローオフバルを探して、圧力を開放する側とそれに繋がるホースに目クラ蓋をするだけです。

ワゴンR

ワゴンRのエンジンルームを見るとエンジンヘッドカバーの上にインタークーラーが付いています。その左側に黒い部品がホースに繋がっていますが、それがリサキュレーションバルブ(ブローオフバルブ)です。このリサキュレーションバルブを殺せばバックタービンの音を鳴らすことができます。

方法は、インタークーラーの左側のパイプから分岐されてリサキュレーションバルブに行っているホースを外して、外した両側に目クラをします。目クラにはホームセンターで売っている椅子の足のカバーがフィットしますので、あらかじめサイズを測り少し小さ目位のカバーを買います。あとはホースバンドで止めればでき上がりです。

この状態でもバックタービンの音は楽しめますが、もっと大きな音を出したい場合は、社外製のむき出しタイプのエアクリーナーに交換するとバックタービンの音が良く聞こえるようになります。

ジムニー

ジムーはインタークーラーがエンジンヘッドの上に乗っていますがその右側にリサキュレーションバルブが取り付けられています。インタークーラーとターボを繋いでいるホースから分岐されているホースがあり、そのホースの先にあるのがリサキュレーションバルブになります。あとはホースを外して目クラ蓋をします。

目クラ蓋にはホームセンターに売っている椅子の足につけるゴムがちょうどよい大きさでしょう。ただしサイズがあるので事前にホースのサイズを測り、同じぐらいより少し小さ目の目クラふたを購入すると良いです。目クラ蓋をしたら外れないように汎用品のホースバンドで締めればバックタービンの音を楽しめます。

もっと大きなバックタービンの音が効きたい場合は、むき出しタイプのエアクリーナーに交換すると迫力あるサウンドが楽しめます。

シルビアS15

S15シルビアのエンジンのブローオフバルブ(リサキュレーションバルブ)からのパイプは、エンジンフロント側の上部に平たい黒いパイプで繋がっています。右側のエアフロメーター下側から分岐されて平たいパイプと繋がっていますので、その接続部分を外し、両側に目クラ蓋をします。

目クラ蓋は、椅子の足に取り付けるゴムのキャップが便利で、接続を切った両側のホースにゴムキャップをはめて、ホースバンドで締め付ければ完成です。

音の変化を楽しみたい場合は、むき出しのエアクリーナーにすれば大きな音になりますし、ブーストコントオーラ―を付けて高ブーストにすると音の質が変わってきます。

社外のブローオフバルブを純正置き換えで取り付けている場合はこの方法でバックタービンの音が聞こえますが、インタークーラーパイプに社外品のブローオフバルブを新設していると、そのブローオフバルブを殺さなければ音は出ません。

インプレッサ

インプレッサのエンジンの上部にはインタークーラーが付いており、そのインタークーラーに直付けでリサキュレーションバルブが取り付けてあります。

このタイプのエンジンから、バックタービンの音を出すにはリサキュレーションバルブを取り外し、そこに目クラをしてしまいます。

方法は、アルミの板と薄いゴム板をホームセンターで購入します。リサキュレーションバルブのインタークーラーに取り付ける部分の形に、アルミ板とゴム板を切り出します。アルミ板とゴム板にボルト取付穴を左右にリサキュレーションバルブの取り付け穴に合わせて開けます。

これをリサキュレーションバルブとインタークーラーで挟んで止めれば完成です。この方法でバックタービンを鳴らすことができますが、タービンの保護を少しでもしたいのであれば、アルミとゴムの板の中心に10mmの穴を開けると半バックタービン仕様となり、タービンにも優しくなるでしょう。

ランエボ

ランエボのリサキュレーションバルブの取り付け位置は、純正のエアインテークを取り外すとその下に見えてきます。ラジエーターにファンコントローラーが取り付けてある場合はそれを取り外すと、リサキュレーションバルブに手が届くようになります。

ランエボの場合は、エアクリーナーからタービンに向かうホースにリサキュレーションバルブが取り付けられており、もう片方はインテーク側のホルダーに取り付けられています。バックタービンにするには、インテーク側でパイプを外し、エアクリーナー側のブローオフを取り外します。あとは外した場所に目クラ蓋をすれば完成です。

目クラ蓋にはホームセンターでホースのサイズに合った椅子の足のゴムが使えます。また取り付けにはホースバンドでエア漏れが無いようにしっかりと締め付けるようにして下さい。

バックタービン化してエンジン不調

バックタービン仕様にしてエンジンが不調になった場合は、元に戻すのが一番です。しかし白煙を吐いたり、加速が急激になくなりエンジンからカラカラと音がした場合はタービンブローの可能性が高いです。

バックタービン仕様にして実際にタービンブローによるエンジン不調は意外に少ないです。おもに多いのは、リサキュレーションバルブ(ブローオフバルブ)の目クラが不十分で、エア漏れをしていたり、2次エアーを吸う事で燃調が狂いエンジン不調となる事が多いでしょう。

エンジンは空気の量を測るエアフロセンサーが取り付けられていますが、このセンサーに入って来る空気量と、バックタービン仕様にして2次エアーを吸い込んでしまい計測した空気量とに差が出てしまうとエンジン不調となります。

タービンによりバックタービンの音は違うのか

車にもいろいろなタイプがあるように、ターボにもメーカーや種類が豊富に存在します。ターボチャージャーには三菱製やIHI、ギャレットなどのターボがありますが、その中でバックタービン音らしい音を奏でるのが、三菱製のタービンです。

純正で三菱製のタービンが装着されている車は主に独BMWや仏PSAプジョー・シトロエン、VWなどとなっています。国産車では三菱自動車やホンダS660に装着されていますが、ほとんどはIHI製を使用しています。

純正タービンと大容量タービン

純正タービンでバックタービン仕様にしても良い音を奏でます。しかし大容量タービンにすれば、もっと大きな独特の音を発するでしょう。その中でもトラストから販売されている三菱のタービンは、他のタービンよりバックタービンの音はずば抜けてよい音がします。

最近の大容量タービンは、アンチサージングタイプの商品もあります。こちらはギャレット製でバックタービン音はマイルドになっておりますが、過給音とバックタービン音のバランスが良いので、大容量タービンにするのであれば候補の一つにしても良いでしょう。ただしアンチサージングタービンは過給音が非常に大きくなるのが特徴です。

バックタービン仕様は自己責任で

バックタービン現象の仕組みについて今回は解説してきました。バックタービンの音が好きであれば、1度はバックタービンの音が出るように改造してみるとよいでしょう。タービンブローの可能性はありますが、やらずに後悔するより納得できるまで、自分の好みで改造するのが車いじりの醍醐味です。

バックタービンは簡単な加工で行えるので、元に戻すことも簡単です。ただしタービンの寿命は、間違いなく縮まります。車を改造する場合は、どんなん改造でも自己責任で行う必要があります。それは純正ではなくなる事だからです。これを踏まえてバックタービンの音が気に入っているのであれば、改造しても問題はないでしょう。

初回公開日:2018年04月05日

記載されている内容は2018年04月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

Related