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モノコックボディの構造・悪路|SUV/バイク/アルミ

更新日:2023年12月08日

モノコックボディは車に使われているボディ構造ですが、その意味を構造から詳しくご説明していきます。またモノコックを採用している車種にはどのような車種があり、バイクでの採用はどうなのか、そしてモノコックで悪路を走行した場合の影響につて詳しく解説します。

モノコックボディの構造・悪路|SUV/バイク/アルミ

モノコックの構造

現代の車のほとんどが採用している「モノコック構造」はシャシーとボディーが一体になった構造で、独立したシャシーを持っていません。モノコックの語源はフランス語で、「モノ=単一の」「コック=船体、殻」の意味を持つ単語の組み合わせです。もともと航空機の技術で、車の他、鉄道や建築物にも広く使われている構造です。

モノコックを日本語に訳すと張殻構造(はりがらこうぞう)とか応力外皮構造という意味になり、車が外から力が加わった時に、ボディー全体に分散させる立体構造の事がモノコックの構造です。

モノコックはバスやトラックそしてSUV以外の車を製造する過程で採用され、ボディーそのものに骨格としての機能を持たせて、別にフレームを極力採用しない事が特徴となっています。

モノコックボディーのメリット

モノコック構造のボディは、骨格を別で持たないので、車の軽量化に貢献します。車の軽量化は低燃費に繋がり、スポーツカーでは運動性能向上にも貢献します。

フレームが少ない、または無い場合は強度に不安を持つ方もいるでしょうが、万が一事故を起こした場合でも力をボディーに分散させることに加え、あえて潰れやすくするクラッシャブルゾーンを設けることで対応しています。

また、モノコックではボディとシャシーが一体化しているので、車室内を広くすることができ、乗員のスペース確保や、荷室を広くすることができるメリットがあります。

モノコックボディは、フレームと車体が一体化しているので振動も少なく乗り心地が非常に良いです。もしボディとフレームを別々に作ると、車を走らせている時に振動がフレームから車体に伝わり乗り心地が悪くなります。

モノコックボディのデメリット

モノコックボディは、ボディ全体がフレームなので事故に遭った時の衝撃の度合いで、修復が不能になる事もあります。また衝撃による少しの変形が走行性能に悪影響をおこすので、フレーム修正をして修復する必要が出てきます。

この他に、走行環境や保管状態で車体に錆が発生すると、その部分の強度が低下し車に振動が出たり、衝撃を吸収しきれずに大きく破損する事もあります。

アルミ

日本ではホンダのNSXがアルミモノコックボディを採用している事で有名ですが、世界に目を向けるとアルミモノコックボディを採用しているメーカーや車種は非常に多く存在します。

アルミは鉄に比べると重量が3分の1の重さなので軽さでは非常に有利な反面、引っ張り強度も3分の1になってしまいます。そこで強度も鉄と同じにしようとしたら重量も3倍になることが課題となっています。

そこでアルミをボディの構造材として考え、鉄より柔らかい特性を生かして形成し、補強部材を多く取り入れると強度は上がり、鉄のモノコックと同じ車を作れば重要は3分の2で済みます。

軽さは、運動性能や燃費に非常に有利なのでアルミを日本でも導入したいのですが、アルミを生成するには電気を非常に多く必要とするので、電気料の高い日本ではアルミを採用するにはコストがかかり難しいのが現状です。

モノコックボディの車の種類

モノコックボディの車はおもに乗用車に採用されています。モノコックボディは軽くできるので燃費を追求する現代の車には切っても切り離せない技術となっています。

しかし車にはモノコックボディの他にラダーフレームがトラックやバス、SUV車に採用されていて、この他にもモノコックとラダーフレームのいいとこ取りをしたビルトインラダーフレームがあります。

モノコックボディは、現在の車に多く採用されていますが、外見では見分けがつきません。モノコックボディの外側にはパネル類が取り付けられており、外から見えるのは主にカバーやリッドです。

車の応力がかかっている場所は、フロアーパネル、ルーフパネル、ピラーで構成されている部分です。これらのパーツはそれぞれスポット溶接で組み立てられていて、そのスポットの間隔も綿密に計算されて強度を保持しています。

乗用車

現在販売されている乗用車のほぼすべてがモノコックボディといってよいでしょう。軽自動車から高級車に至るまで、トラックやSUVの一部の車種を除いた車です。

日本で最初にモノコックボディを採用したのは富士重工のスバル360でした。軽自動車の非力なエンジン、そして狭い室内空間をどうすれば改善できるかがカギでした。もともとモノコックは飛行機の技術で、中島飛行機がルーツの富士重工は、その航空機製造技術を応用してスバル360にモノコックを採用しました。

その後各社がモノコックを世に送り出し、1995年に衝突安全性向上からトヨタが衝突時の乗員スペースの確保する新設計のGOAを開発し、5代目スターレットに採用しました。国産各メーカーは独自技術で新設計の衝突安全性ボディを開発し現在に至っています。

SUV

本格SUVという言葉を最近よく耳にします。これらのSUVにも最近ではモノコックボディを採用しています。それは最新技術でモノコックの性能向上により先進国のちょっとした未舗装路では問題なく走破できるからです。

SUVは、悪路をものともせずに走るイメージが非常に強いですが、実際モノコックボディを作る技術が進化したとはいえ、ラダーフレームのような強靭さはまだ足りないと言えます。

しかし、先進国では未舗装路が少なくなり、舗装路が大半を占めるようになりました。それ故に最新のモノコックボディの4WDならちょっとした未舗装路な問題なく走れ、激しいデコボコ道でもゆっくりとなら走破できるレベルになっています。

スポーツカー

自動車にとって軽量化は最大のテーマです。「走る、曲がる、止まる」といった基本性能の動きは重量に左右されるので、軽くできれば力学的に慣性重量が減ることで軽快に走ることができ、加速性能や制動性能が共に向上します。コーナーではボディーにかかる遠心力が減り、コーナーをより速いスピードで駆け抜けることができます。

レースの世界では、コンマ何秒を争う世界なので、軽量化により僅かでも重量を減らすことができれば勝因に繋がります。

スポーツカーも強烈な加速や減速、そしてコーナリングスピードの高さが要求されるので、モノコックボディをより軽量化させたアルミ製を使用している車種もあります。またより強靭で軽いカーボンモノコックは高級スポーツカーに採用されるなど、スポーツカーには非常に重要なボディ構造といえるでしょう。

モノコックフレームのフレームのバイク

バイクにはエンジンの四隅をぐるっとパイプで囲んだクレードルフレームやダイヤモンドフレームが基本的ですが、細かく分けると非常に多くのフレームの種類があります。しかしモノコックフレームを採用しているバイクはカワサキ・ZX-14Rやドゥカティ・パニガーレなどに採用されていますがバイクではあまりメジャーなフレームではありません。

カワサキもドゥカティのバイクもエンジンと一体となった形状をしており、フレームの中にエアクリーナーを組み込まれた形で、内部にはインジェクターやスロットルも組み込まれています。バイクを外から見ただけでその複雑な形状は他とのフレームバイクと違う事がわかるでしょう。

フレーム構造

バイクのフレーム構造は一般的にエンジンを取り囲むようにしているクレードルフレーム(クレードル=ゆりかご)やダイヤモンドフレームのようにフレームの下側をカットして、エンジンをフレームのように剛性を持たせたタイプがあります。

バイクのフレームにはこの他、ボックスフレーム、バックボーンフレーム、アンダーボーンフレーム、フレームレス、ツインスパーフレームがあり、車より多くのフレームの種類がある事がわかります。

一般的になじみのあるスクーターでは、アンダーボーンフレームが採用されており、フレーム全てをフロア下に納める事で乗り降りのしやすさを追求した作りとなっています。

モノコックは悪路に強いのか

SUVの四駆で悪路を走る事を楽しむことは、最近のモノコックボディでも可能でしょう。しかし、発展途上国のような場所では道なき道を走るため、車のボディには大きな応力が常に加わり、時間と共にボディに金属疲労が現れて、ドアが閉まらないなどの不具合が出てしまうでしょう。

悪路を走る場合、先進国のような悪路でも道路と呼べる場所であればゆっくり走れば問題ありませんが、いざ車が横転してしまうと走行不能となり、車を走らせることが不可能となってしまいます。

そこで悪路ではラダーフレームの車が発展途上国では非常に需要があります。それはもし横転してもサスペンションの取り付け部などはほとんど影響がなく走らせることができ、無事帰路につくことができるからです。

モノコックフレームとラダーフレーム

車のフレームを語るうえで、比較されるのがモノコックとラダーフレームでしょう。ラダーフレームはハシゴ上の形をしており、エンジンとサスペンションが取り付けられ、その上に室内空間のボディを乗せています。

そのためボディ単体での強度は低いですが、エンジンやサスペンションは強固なフレームに取り付けられているので、悪路でボディがボコボコになってもフレームさえ無事であれば走行する事が可能です。

モノコックボディとラダーフレームの違いは、衝突時に受ける損傷がモノコックでは車体全体に広がる恐れがあるのに対し、ラダーフレームであれば損傷部位も限定されるので、悪路においてはラダーフレームに勝る物はないでしょう。

モノコック構造の本格SUVでは、悪路を走行するには弱々しく、どんな状況でも走れる強靭な車とは言えません。

本格SUVの車種

本格SUVのラダーフレームの猛者は、トヨタランクル、スズキジムニー、メルセデスベンツGクラスです。これらの車種以外の本格SUVと言われる車種は全てモノコック構造となっています。

ここに紹介した車以外で本格SUVの四駆だからと言って、調子に乗り悪路や瓦礫の道路を走ったり、河川を走ったりすれば、とんでもない目に合うでしょう。

本格SUVのモノコック車は、いかにも悪路を強靭に走行できるようなスタイルで、アウトドア好きの心を掴んだ舗装路を走る車です。

モノコックボディーの事故

一般に売られている車のほとんどはモノコックボディです。モノコック構造は卵の殻と同じように衝撃を面全体で吸収して分散させる構造なので、一点に衝撃が加わるとその衝撃は各部に分散され歪みが広がるのが特徴です。

モノコックボディが強い力で衝突すると、ラダーフレームのような強靭なフレームが無いので、パネル類が損傷をします。その衝撃は車全体にも広がり、吸収しきれなかった応力は損傷となり、曲がったり溶接が割れたりします。

そのためにモノコックボディを修復するには専用のフレーム修正機が必要となり、メーカーから発表されているボディ寸法図を基に車を修復させる必要があります。その寸法図は多岐にわたり、数多くのポイントを計測し、どこまで歪んでいるのかを見極めてから修復する熟練の技術が必要です。

修復歴とモノコック

中古車を購入するうえで気になるのが事故車かどうかでしょう。一般に事故車というのはフレーム修正を行った修復歴のある車の事を指します。修復歴があると歪んだボディーフレームを修復しますから、その部分はどうしても強度に問題が出てきます。

修復方法には色んな方法があり、車の骨格で重要なサイドメンバが曲がっていると修復してもサスペンションに悪影響が出る事があります。修復には寸法図通りにボディを修正しますが、取り換えるパネルが損傷部全部なのか一部なのかで耐久性にも影響し、また溶接方法でも強度が変わってきます。

これらの理由からモノコックボディの車を修復した車が嫌われていますが、実際に腕のある板金ショップで修復すれば、新車と同レベルまで強度を修復させる事もでき、また耐久性も問題ないレベルまで修復できる技術になっています。

ラダーフレームの修理

ラダーフレームを採用している車が事故を起こし、フレームが曲がるような損傷を起こすと、フレームの上に載っているボディーも相当なダメージを追う事になるでしょう。

それはフレームが曲がるとその方向にボディーも止めてあるボルトを起点に引っ張られ歪みが起きます。そこでラダーフレームの修理をする場合は、ボディーとフレームを切り離して修理をする方法と、そのままの状態で修理する方法の2種類があります。そのままの状態で修理する場合は比較的フレームの曲がりが軽度の場合に行われます。

フレーム修正機にはラダーフレーム対応でないことが多く、また一般にモノコックボディが普及していることから、ラダーフレームの修正機を導入していない板金業者もあります。修理に出す場合は、ラダーフレーム対応かどうか確認して修理に出す必要があるでしょう。

技術革新するモノコック

モノコックボディは年々進化を続け、軽さと強度を上げてきています。モノコックボディは軽く作れますが、走行距離と走行する場所に応じて歪みの発生が起き、金属疲労を起こしておよそ20万キロから30万キロが限界と言われています。

これから先も、技術革新が進み、軽量でより強度のあるモノコックボディが開発され続けるでしょう。そして日本でもアルミ製造する時にかかる電気代の壁を乗り越えることができれば、一気にアルミボディの普及に繋がっていくことでしょう。

初回公開日:2018年04月16日

記載されている内容は2018年04月16日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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