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運転経歴証明書とは・運転経歴証明書の発行方法と使い方

更新日:2024年04月08日

運転経歴証明書とは何でしょうか。あまり聞き慣れない名前ですが、特定のドライバーにとっては大きな意味を持つ証明書です。本記事では、運転経歴証明証とはどのようなものなのか、またそれを取得するにはどうしたら良いのか、どんなメリットがあるのかについて解説します。

運転経歴証明書とは・運転経歴証明書の発行方法と使い方

特別扱いとなる高齢者ドライバー

人は高齢になると体の衰えを感じてきます。たとえ気持ちは若くても、加齢による身体機能の低下や認知機能の低下などを避けることはできません。そのため、高齢になっても車を運転するドライバーの場合には、特に注意が必要となってきます。

法律では、高齢者が安全に運転操作を行うことができるようにいくつかの特別な規定を設けています。例えば70歳以上になると、運転免許証の更新の際に高齢者講習を受けるように規定されています。

さらに75歳以上のドライバーになると、高齢者講習に加えて講習予備検査が必要となります。仮にもし検査で、記憶力や判断能力が衰えていると指摘され、信号無視などの特定の交通違反があったりすると、専門医の診断を受けなければならなくなります。

若い時より運転の危険度が増してきているため、より多くの条件が求められるようになってきます。

運転免許の自主返納制度について

近年、高速道路の逆走やアクセルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故など、高齢者が関係する事故が多いことも、加齢による身体能力の低下または認知能力の低下の影響の一つと言わねばなりません。

そうしたドライバーの中には、自分の年齢や身体の衰えを考慮に入れて、自分から運転免許を返納することにした人もいます。ドライバー本人が申請をすることで、運転免許証の取り消しという扱いを受けることとなります。それを運転免許の自主返納制度と呼んでいます。

この制度は1998年4月からスタートしました。自主返納申請手続きを行う場所は、各都道府県の運転免許試験場や免許更新センター、警察署などです。ただし、運転免許証の有効期限が切れていたり、行政処分の対象となっていたりする場合には申請することはできません。

運転経歴証明書とは何か?

運転免許を返納するのはいいのですが、運転免許証は運転するほかにも、自分の身分を証明するためにも使用される機会が多くあります。そのため制度がスタートした当初は、実際に自分の免許を返納するドライバーは多くありませんでした。

そこで運転免許証の自主返納を促進するため、警察庁は2002年から本人を確認できる書類として使用することができる、「運転経歴証明書」の発行を始めることにしました。通称を「ゼロ免許証」ともいいます。

これによって、運転免許証がなくてもその代わりとして、身分証明の書類として使用することができるようになっています。

何が書いてあるの?

運転経歴証明書にはどのような内容が記載されることになるのでしょうか。まず生年月日や住所、氏名などが記載されています。加えてドライバーが運転免許証を自主返納した日から5年前までの運転経歴についてです。所有していた免許の種類や、優良運転者、一般運転者、または違反運転者の区分などが記載されることになります。

有効期限はあるの?

では、運転経歴証明書に有効期限はあるのでしょうか。制度ができた当初は、運転経歴証明書の発行から6か月以内が使用期限でしたが、2012年に制度が改正され、無期限の使用ができるようになりました。

ただし、住所変更や氏名の変更などがあった場合には、速やかに変更届けをすることが義務付けられていますので、戸籍上の名前に変更があったり、引っ越しなど住所の移動があったりした場合には、必ず忘れずに変更手続きを行いましょう。

更新はできるの?

上記のように、一度申請を行って運転経歴証明書を取得したなら、永久的にそれを使用することができるので更新の必要はありません。ただ、誤って運転経歴証明書を紛失してしまった場合や、運転経歴証明書を破損してしまった場合には、申請手続きをして再交付を受けることが可能となりました。

運転経歴証明書はどんな時に使えるの?

では普段の生活の中で、自分の身分を証明できる運転経歴証明書はどんなときに使用できるのでしょうか。

身分証明書として使用可能

運転経歴証明書には、ドライバーの運転の経歴のほか、住所、氏名、生年月日などが記載されることになりますので、身分を証明する必要性のある全ての状況で使用することが可能です。

銀行などの金融機関での口座開設や、クレジットカード作成手続きなどは、必ず本人確認書類が必要となりますので、運転免許証を自主返納したドライバーは、できるなら自主返納手続きをすると同時に、運転経歴証明書の申請も行うことをします。

運転経歴証明書の発行方法とは?

運転経歴証明書の発行には期限があることも忘れてはなりません。運転経歴証明書を発行できるのは、運転免許証を自主返納してから5年以内と規定されています。ですから、もしその期間内に申請しなければ運転経歴証明書が発行できなくなってしまいますので注意しましょう。

では、運転経歴証明書を実際に発行するにはどのような手順を踏んだら良いのでしょうか。これからその具体的な発行方法について見ていきましょう。

発行手続きの書類はどうすればいいの?

運転経歴証明書の発行には申請が必要ですが、そのための書類をどこで手に入れたら良いのでしょうか。都道府県によって異なる場合がありますが、基本的には運転免許証の自主返納を申請した同じ場所で、運転経歴証明書の手続きも行うことが可能です。

ただし都道府県にもよりますが、警察署などで申請手続きをした場合には、運転経歴証明書の受け取りが後日に郵送という形になることがありますのでその点も覚えておきましょう。

中には、運転経歴証明書の発行申請書類を家に持って帰ってゆっくりと書き込みたいと考えるドライバーもいらっしゃるに違いありません。それも可能です。その場合には、運転経歴証明書の申請用紙の見本がありますので、それに従って必要事項を記入し、手数料を添えて指定の金融機関で申し込みを行うことができます。

なお、金融機関での払込みには払込み料金が別途必要となる場合がありますので準備しておきましょう。

発行手続きにかかる手数料はいくら?

運転経歴証明書の発行は無料なのでしょうか。いいえ、無料ではありません。交付手数料を支払う必要があります。手数料の金額については都道府県によって異なってきますが、多くの場合1,000円程度の金額が請求されることになります。

発行手続きに使う写真は?

運転経歴証明書の申請手続きには写真の添付が必要となっています。写真の大きさは、縦3センチメートル×横2.4センチメートルの大きさのものと規定されています。運転免許証の更新手続きの時と同じ大きさの写真です。

本人確認も必要?

申請場所が同じ場合に限りますが、運転免許証を自主返納する際に、同時に運転経歴証明書の申請手続きも一緒に行うなら、わざわざ申請者本人の身分確認は必要ありません。

しかし、運転免許証の自主返納をした後に、改めて運転経歴証明書の申請手続きをするという場合には、本人であることを証明する書類が必要となってきます。

ですから住所、氏名、生年月日を確認できるもの(住民票など)を用意してから申請手続きに出かけましょう。加えて印鑑も必要になりますので忘れずに持参してください。

手続きを代行できるの?

病気などさまざまな事情で、ドライバー本人が運転経歴証明書の申請手続きを行えない場合にはどうしたら良いのでしょうか。その場合には代理人による代行手続きが可能です。

ドライバー本人から運転経歴証明書の申請手続きを委託された人には委任状が必要となりますが、それを持参すればドライバー本人に代わって運転経歴証明書の申請手続きを行うことができます。委任状の形式などについては、申請手続きをする各機関に尋ねると良いでしょう。

運転経歴証明書を持っていると受けられるサービスとは?

前述のように、運転経歴証明書はドライバーの身分証明書として使用できることがわかりましたが、ほかに運転経歴証明書を取得するメリットはないのでしょうか。

どんな特典があるの?

運転免許証の自主返納制度を利用することにはさまざまなメリットがありますが、そのメリットを享受するためには、運転経歴証明書を提示することが求められます。各都道府県によって運転免許自主返納者が受けられる特典はさまざまです。そのいくつかをご紹介しましょう。なお、特典の内容については変更される場合があります。

雨竜町(北海道)

●「ふれあい商品券」3万円分プレゼント

栗原市(宮城県)

●ハイルザーム栗駒,花山温泉温湯山荘,金成延年閣の入浴料金免除(3回まで)

●エポカ21「アクエリア」の浴室・プール利用料金免除(3回まで)

秋田県

●秋田県内561店舗(飲食店,銭湯,眼鏡,理容店など)で割引

会津若松市(福島県)

●小売店(10%割引など),飲食店(5%から10%割引など),サービス業(5%から10%割引など),観光施設(100円割引など),旅館・ホテル(10%割引など)

桐生市(群馬県)

●ノピーパスポート(桐生市内の協賛店でさまざまなサービスが受けられるチケット)贈呈

埼玉県

●(株)ヨシケイ埼玉(10店舗)の夕食食材,その他販売品全て5%引き

●森永埼大浦和ミルクセンターで店頭価格より10%割引など

流山市(千葉県)

●ながぽんカード(流山市内の加盟店で使用できるポイントカード)を2,000円分の買い物ポイント付きで贈呈(同カードをすでに持っている方はポイント引換券贈呈)

朝日町(富山県)

●すこやか応援券(1000円券×15枚)

●老人福祉センター回数券(11枚×5セット)

●環境ふれあい施設「らくちーの」入浴券(シルバー入浴回数券36枚)

●あさひヒスイ海岸パークゴルフ場年間利用券(発行日から1年間有効)
※上記の中からいずれか1つ

小松市(石川県)

●らく賃パスポート3か月分

●栗津温泉利用券5,000円分

●JA買い物券5000円分
※上記の中からいずれか一つ

松崎町(静岡県)

●日帰り温泉券(500円相当)10枚配布

静岡県

●オリックスレンタカーでワゴン車(平日50%割引,土・日・祝日30%割引),ワゴン車以外は基本料金より15%割引

京都市(京都府)

●500円相当のギフト券を提供

日置市(鹿児島県)

●公共温泉施設割引(ゆすいんの入浴料金300円→200円|ゆーぷる吹上の入浴料金400円→200円|日吉老人福祉センターの入浴料金210円→130円)

伊佐市(鹿児島県)

●さくら商品券1組1万円分

●みのり商品券1組1万円分
※どちらか3万円分

鹿児島県

●宿泊メリット制度(泊り料金の1割引)
※各館によって優遇内容に違いあり

沖縄県

●宜野湾市大山在天然温泉アロマの入泉料金500円割引き

●宮古島温泉ホテル(65歳以上入湯料400円割引)

タクシーも割引になるって本当?

運転免許証を返納してしまうと困ることがあります。それは病院や買い物に行くための足の確保です。運転が不可能となった今、家族の送迎以外では、公共交通機関やタクシーなどを使うしかありません。

特に、歩行などに障害があったり荷物が多くなったりすれば、タクシーの利用が大きな助けになるはずです。しかし、公共交通機関と比べて割高なタクシーの利用を躊躇してしまうということも想定されます。運転経歴証明書はこのような場合役に立たないのでしょうか。

実は、各都道府県によってになりますが、運転経証明書を利用することでタクシーの割引を受けられるところがあります。その都道府県をいくつかご紹介しましょう。

根室市(北海道)

根室市では、運転免許証を自主返納したドライバーに対して、何と毎年1万1千円ものタクシー券を支給しています。市役所に運転経歴証明書を持参すると、1枚550円のタクシー券を20枚受け取ることができます。さらに運転経歴証明書の交付手数料の助成までしてくれます。なかなか手厚いサービスです。

栗原市(宮城県)

栗原市では、65歳以上の運転経歴証明書の取得者に対して、タクシーの乗車料金を10%割り引くサービスを行っています。たとえ10%であっても、定期的にタクシーを利用したり、長距離をタクシーで移動しなければならない方には嬉しい特典といえるでしょう。

栃木県

栃木県でも、県のタクシー協会と個人タクシー協会の協力で、運転免許証を自主返納した65歳以上のドライバーに対して、運転経歴証明書を提示することによってタクシー運賃から10%の割引を行っています。

タクシー券を配布する自治体は多くありますが、そのほとんどが1回のみの特典となっているので、いつでも10%割引するこのサービスによって、運転免許証の自主返納者の増加に寄与するに違いありません。

運転経歴証明書の取得についてベストな選択を!

ここまで、運転経歴証明書の内容と手続き方法、そして運転経歴証明書を取得することにともなって受けられるさまざまな特典について解説してきましたが、いかがでしたか。

高齢化社会の構図は今後しばらくは続くと予想されています。もちろん、高齢であっても運転に支障がないなら、運転免許の更新には何の問題もありません。

しかし、加齢による身体機能や認知機能の低下が起きうることも事実ですので、高齢のドライバーは自分の体調の変化にいつも注意を払い、家族など自分の周りの人の観察も考慮に入れたうえで、運転免許証の更新の可否について判断していきましょう。

初回公開日:2018年01月08日

記載されている内容は2018年01月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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